MSP430FR5994 とは
MSP430FR5994 とは
昨年末にふと TI の MSP430 サイトを覗くと、11月に FR5994 というハイエンド製品のリリースノートが出ていました。「信号処理回路をもつFRAMマイコン」とのことですが、私自身は、MSP430についてはメモリとシリアル通信ペリフェラルの多いものをいつも探していたので、この2つが満載?であるこの製品に少しワクワク感を感じました。
機能ブロック図
Functional Block Diagram for MSP430FR5994
主な仕様
FR5994 の主な仕様を、5xシリーズ と 1xシリーズ のハイエンド級製品である F5438A および F1611 と比較します。
Type Names | FR5994 | F5438A | F1611 | |
Package QFP (Pins/Length of a side) |
- 80LQFP/14mm 64LQFP/12mm |
100LQFP/16mm - - |
- - 64LQFP/12mm |
|
CPU | MSP430 | MSP430 | MSP430 | |
Frequency | MHz | 16 | 25 | 8 |
NV Memory | MB | 256 | 256 | 48 |
Total RAM | MB | 264 | 16 | 10 |
GPIO | 68 | 87 | 48 | |
I2C | 4 | 4 | 1 | |
SPI | 8 | 8 | 2 | |
UART | 4 | 4 | 2 | |
DMA | 6 | 3 | 3 | |
ADC | 12bit | 20 | 14 | 8 |
Comparators | input | 16 | - | Y |
Timer | 16bit | 6 | 3 | 2 |
Multiplier | 32x32 | 32x32 | 16x16 | |
AES | AES256 | - | - | |
BSL | UART | UART | UART | |
VCC Min | V | 1.8 | 1.8 | 1.8 |
VCC Max | V | 3.6 | 3.6 | 3.6 |
Active Power | uA/MHz | 120 | 356 | 330 |
Standby Power | uA@LPM3 | 0.7 | 2.3 | 1.1 |
Wakeup Time | uSec | 7 | 3.5 | 6 |
Watchdog | Y | Y | Y | |
Temp Sensor | Y | Y | Y | |
Brown out reset | Y | Y | Y | |
Real-time Clock | Y | Y | - | |
IrDA | Y | Y | - | |
LEA | Y | - | - | |
Capacitive touch I/O | Y | - | - | |
Operating Temp. Lower | degree C | -40 | -40 | -40 |
Operating Temp. Upper | degree C | 85 | 85 | 85 |
Package QFN | QFN | - 48VQFN/7mm |
- - |
64VQFN/9mm - |
Package BGA | BGA | - 87NFBGA/6mm |
113BGA/7mm - |
- - |
F5x については過去に F5438 を評価した際にSPI関係のエラッタ対策を面倒と感じ見送りとしたのですが、現在は改良版の F5438A が推奨されているようです。 F5438A も魅力がありますが今となっては FR5994 のほうが良さげです。
ピン配置図
シリアルIOが割愛されておらず試作段階で手ハンダもできる 80LQFP/14mm (下図) を使うことになると思います。
開発用ボード
ローンチパッド
なんと、FR5994には Launchpad(ローンチパッド) が用意されています。FR5xシリーズ全般の機能をほぼ備えるからなのか、それとも TI が力を入れていく CPU という意味なのか、そこはわかりませんが、メーカーで練られたアプリケーションハードウェアで実際に想定する CPU の動作チェックができるのはとてもありがたいです。しかもローンチパッドは2000円弱と大変安価です、買いですね。
ソケットボード
とはいえ、ローンチパッドでは全てのピンが引き出されているわけではないので、きっちりと評価や開発を行うには CPUソケット のついたターゲット開発ボードが必要となります。FR5994 については、80ピン の FR599x用 のボードが TI から販売されています。こちらのお値段は約10000円と若干高価(通常の価格)です。
まとめ
個人的には、とても魅力的なCPUと感じました。ただひとつ問題が...2017年1月1日現在ではDigikeyでもMouserでも生CPUが在庫されていません。今後エラッタなどでリリースが遅れたり、5438AみたいにAが付いて仕様が変更されたり、といったことがないことを祈るばかりです...ひとまず、TIからサンプルを入手することにしました。
※実は年末に My TI からサンプル請求しており、翌日には FedexのPriority で出荷されて大晦日には関空まで到着しています...楽しみです。